花札を用いた新しい技法を考えてみました。名付けて"珊瑚花(さんごはな)"です。
 ご覧戴ければお判りの通り、麻雀と似た様な(所謂"ラミー系")技法となっております。ただ、テストプレイ等殆どしないまま公開しておりますので、まだまだ不備もあるかも知れません。それをご理解の上で、軽い気持ちで試してみてください。
 なお、珊瑚花と云う花は本当に存在しますが(但しそちらは読みは「さんごばな」)、この技法には一切関係ございませんのでご注意ください(笑)。
 
 
 
 
 
    創作技法 "珊瑚花"          文責:CC
 
 
 
 
   使用札
 八八花48枚
 
 
 
   人数
 3人(但し、2〜4人で遊戯は可能)
 以下では、3人で遊ぶ事を想定して説明しますので、2人あるいは4人で遊ぶ際には、それに合わせて適宜調整してください。
 
 
 
   札の種別
 花合わせ等でポピュラーな種別を使います。即ち、
  20点札5枚(以下この説明内では光札と呼称)
  10点札9枚(同じく種札と呼称)
  5点札(短冊)10枚(同じく短札と呼称)
  1点札(カス)24枚(同じく素札と呼称)
 但し、上記の様に区分けしますが、点数自体は使用しません。
 
 
 
   目的
 手札7枚、上がり8枚(3枚+5枚)で、上がりの形を作る事です。詳細は以下に述べます。
 
 
 
   事前準備
 何かチップになるもの(碁石、点棒、ポーカーチップ、マッチ棒等)を用意し、各人が同じ文数になる様に持ちます。
 
 
 
   席順と親の決め方
 札を山にして置き、参加者が任意の札を引いて、月の早い順に反時計回りに座ります。月の最も早かった人が最初の親となります。なお、同月の人がいた場合は、その人同士のみで引き直します。
 (以下、席順は、親から順に「親、胴二、ビキ」と呼称します。)
 
 
 
   札の配り方
 親が札を配りますが、その前に親は、札を胴二の前に置きます。
 胴二はそれを取り、良く切ってビキの前に置きます。
 ビキはそれを望みます。「望む」とは、適当に中程で分けて上下を入れ替える事を云います。望んだ後、ビキは札を親の前に置きます。
 親は、札を一人7枚あて配ります。この遊戯では、花合わせで云う所の場札がありませんので、配り方は、胴二→ビキ→親(自分)の順で各4枚、次いで同じ順で各3枚と配ります。余った札は場の中央に伏せて置き、山札とします。
 
 
 
   遊戯の開始
 まず親が、山札の一番上を、他の人に見えない様にめくります。そしてそれが必要な札だと思えば、自分の手札に加えて、不要と思う札を1枚、場に表向けて捨てます(以下これを捨て札と云います)。なお、めくった札が不要だと思えば、それをそのまま同様に捨てても構いません。
 次いで胴二が、同様の動作をしますが、ここからは、山札をめくるか、捨て札を取るかの選択が出来ます。即ち、直前の人の捨て札が自分の手に必要ならば、それを取って手札に加え、不要な札を捨てるか、もしくは捨て札が特に必要でない札ならば、最初の親と同様の動作を行うか、どちらかを選択します。なお、上記の通り、山札をめくった場合は、それを手に加えずそのまま捨てる事も可能ですが、捨て札を取った場合は、それは必ず手札に加えなければなりません。
 以下、次いでビキ、更に次いで親、と云う様に、この動作を繰り返します。なお、捨て札は、全員が同じ一箇所に順次重ねて置いて行きます。取れる捨て札は、その一番上の札、つまり、直前の人が捨てた札のみです。
 
 
 
   一月の終了
 この様にして、順次手を進めて行く訳ですが、その月(トランプで云う1ディールを、花札の慣習に倣って『月』と呼称します)が終了するには、以下の3通りのパターンがあります。
 
 ・上がり
  自分が山札からめくった札で上がりの形が出来る。
 
 ・当たり
  他の人が捨てた札で上がりの形が出来る。
 
 ・流れ
  誰にも上がりの形が出来ずに山札を使い切る。
 
 
 
   上がり
 遊戯中、手札は7枚ですが、上がりの形(これを"役"と云いますので、以下ではそう呼称します)は、上記の通り8枚ですので、山札からめくった札で役が出来て上がる場合、めくった札を捨てずに、そのまま手札と一緒に公開します(麻雀のルールをご存知の方は判り易いと思います)。この様に、山札からめくった札で役が完成した際には、手を公開しながら「上がり」と宣言します(つまり麻雀で云う"ツモ"です)。
 次の月では、この上がった人が親になります。
 
 
 
   当たり
 手札7枚が「あと1枚で上がり」と云う形(麻雀で云う"聴牌")になった状態で、誰かが自分の上がりの札を捨てたなら、その際のみ例外的に、それが直前の人が捨てた札でなくても、手札とその札を合わせて役を完成させる事が出来ます。これを、上記の上がりと区別して、特に"当たり"と云います。その場合、その札が捨てられた時点で、「当たり」と宣言します(つまり麻雀で云う"ロン"です)。
 なお、複数人が同時に「当たり」を宣言する事もあり得ますが、その際は、その札を捨てた人から数えて順番の早い人の宣言が有効となります。
 "当たり"の場合も、当たって上がった人が次の月の親です。
 
 
 
   精算
 "上がり""当たり"が宣言されたら、宣言した以外の人は、その上がった役の役代の文数分のチップを、上がった人に払います。後述する役代をそれぞれが払うので、3人遊戯の場合、上がった人には役代×2が入ります。なお、"当たり"で上がった場合でも、八八で云う"法度"や、麻雀のロンあがりの時の様に、当たりの札を捨てた人が一人で払わなければならない、と云う様な事はありません。
 
 
 
   流れ
 誰も上がらずに山札を使い切ってしまった場合、その月は"流れ"となります。次の月の親は、流れた月の親が継続します。
 この際、親は場に2文、それ以外の人は場に1文、チップをそれぞれ供出します。これは、次に誰か上がった際に、役代と一緒にその人のものとなります。但し、上がったのが親の場合、それ以外の人は、更にそれぞれ1文ずつ供出し、親はそれを纏めて取ります。
 また、"流れ"が何度か連続した場合、その度毎に、同様に場にチップを供出します。そのチップは、誰か上がるまで場に累積して貯めておき、上がった人が纏めて取ります。その際、上がったのが親ならば、それ以外の人は、流れた回数分(つまり、それまでに連続で供出したチップと同額)新たにチップを供出し、親はそれを纏めて取ります。
 
 
 
   遊戯の終了
 以上の様にして、1年(12ヶ月)を繰り返します。役代は毎月精算されていますので、最後の月の役代を精算し終えた時点で、持っているチップの最も多い人が、最終的な勝ちとなります。
 もし最後の月が"流れ"で終わった場合、その月の分についてはチップを供出する必要はありません。その際に、それより前の月が"流れ"で場にチップが累積されていた場合は、そのチップは最終的な勝者が取ります。但し、この場合のみ、たとえそれが最後の月の親であっても、それ以外の人が新たにチップを供出する必要はありません(最後の月で誰かが上がった場合は、当然、通常の扱いをします)。
 
 
 
   役について
 役は、前述した通り3枚+5枚の8枚で構成されます(ちなみにこれが技法名の由来です)。3枚あるいは5枚の組は、それぞれ光札同士、種札同士、短札同士、素札同士で成り立っています。通常、役は全部で10種類ですが、以下に、役を作る際の原則を示します。
 
  ・3枚組と5枚組は、必ず別の種類の札でなければなりません。
 つまり、例えば素札8枚を3枚と5枚に分けて、それで役の成立、と云う事にはならない訳です。
 
  ・素札の5枚組には同月札2枚が必ず含まれていなければなりません。
 10種類の役の内、5枚組の方に素札を用いるものは3種類ありますが、それらの役の場合、その5枚の中に、同月札2枚が最低1組は必ず含まれていなければ、役として認められません。但しこの際、桐の札については、黄桐抜きで2枚揃っていなければなりません。また、八八の手役等と違い、この遊戯では、柳の札全てを素札とみなすと云う事もありませんので、柳ではこれは当然出来ません(黄桐及び柳のカス共に、素札の3枚組、5枚組を作るのには当然使用出来ます)。
 なお、素札を3枚組の方に用いる際には、月が3枚とも異なっていても問題ありません。
 
  ・種札と短札を混ぜては使用できません。
 役の中に、3枚組の種別が種札の場合と短札の場合を区別せず、同じ役としてあるものが2種類ありますが、それらは、種札と短札を混ぜて使用して良い訳ではありません。種札なら種札3枚、短札なら短札3枚で揃えないと役として認められません。
 
 
 
   役の種類
 役には、通常次の10種類があります。
・素役
(すやく)
1文  種札3枚あるいは短札3枚と、素札5枚(同月札2枚を含む)で構成される役です。
・下短冊
(しもたんざく)
2文  素札3枚、短札5枚で構成される役です。
・下ノ種
(しものたね)
3文  素札3枚、種札5枚で構成される役です。
・下三光
(しもさんこう)
5文  光札3枚、素札5枚(同月札2枚を含む)で構成される役です。
・上短冊
(かみたんざく)
6文  種札3枚、短札5枚で構成される役です。
・上ノ種
(かみのたね)
7文  短札3枚、種札5枚で構成される役です。
・短三光
(たんさんこう)
10文  光札3枚、短札5枚で構成される役です。
・種三光
(たねさんこう)
12文  光札3枚、種札5枚で構成される役です。
・下五光
(しもごこう)
15文  素札3枚、光札5枚で構成される役です。
・上五光
(かみごこう)
20文  種札3枚あるいは短札3枚と、光札5枚で構成される役です。
 以上が、通常の役なのですが、以下の特殊な条件を満たす事により、特典として役代が増える場合があります。
 
 
 
   役の特典(構成札によるもの)
 役の構成に素札5枚が入っている役(素役、下三光)は、先述の通り同月札2枚が入っていなければ役になりませんが、更に以下の条件を満たせば役代が増えます。
 
 ・同月札2枚が2組揃えば、役代が2倍付けられます。
 ・桐のカスが3枚揃えば、役代が3倍付けられます(役の条件は黄桐以外の桐の札で満たされています)。
 ・同月札2枚が2組揃い、残り1枚が柳のカスならば、同じく役代が3倍付けられます。
 ・桐のカス3枚と、それ以外の同月札2枚が揃えば、役代が4倍付けられます。
 
 また、役の構成に短札3枚が入っている役(素役、上ノ種、上五光)は、更に以下の条件を満たせば役代が増えます。
 
 ・花合わせ等で云う赤短が揃えば、役代が2倍付けられます。
 ・同じく青短でも、役代が2倍付けられます。
 
 なお、5枚組の方に赤短、青短が揃っていても、それは特典の条件とはなりません。
 もう一つ、役の構成に素札3枚が入っている役(下短冊、下ノ種、下五光)は、更に以下の条件を満たせば、役代が増えます。
 
 ・桐のカス3枚が揃えば、役代が3倍付けられます。
 
 以上が、構成札による特典の条件です。なお、素役は、2つの条件を同時に満たす事も可能ですが、それが成立した際は、共に掛け合わせます。つまり、素役は1文なので、両方の条件が重なった場合は、素札の構成によって4文、6文、8文となる、と云う事です。
 また、これらの特典により、通常の最高役である上五光の役代を超える役も出て来ます(下三光の4倍付けで上五光と同額)が、折角なのでその条件を満たした役には、特に名前を付す事にしました。下記の3種類です。
・赤五光
(あかごこう)
40文  赤短の3枚入りの上五光です。
・青五光
(あおごこう)
40文  青短の3枚入りの上五光です。
・桐五光
(きりごこう)
45文  桐のカス3枚入りの下五光です。
 これ以外のものは、"××(役の名称)の○倍付け"と呼称する事とします。
 
 
 
   役の特典(上がるタイミングによるもの)
 役が完成するタイミングによって、以下の特典が付きます。
 
  ・福上がり(ふくあがり)
 1巡目、つまり、各人の最初の手番で、山札をめくって「上がり」を宣言した場合は、これを"福上がり"と呼称し、特典として役代が15文加算されます。つまり上がった以外の人それぞれからプラス15文ずつ貰う、と云う事です。
 
  ・福当たり(ふくあたり)
 1巡目が終了する、つまり、ビキが最初に札を捨てて親に手番が移るまでに、誰かの捨て札で「当たり」を宣言した場合は、特典として役代が加算されます。これを"福当たり"と呼称しますが、但しこれには2種類あります。
 「当たり」を宣言するまでに、手札を替えず最初に配られたままの手だった場合は、役代が12文加算されます。
 もし「当たり」を宣言するまでの間に、山札あるいは捨て札を自分の手に入れ、手を替えていた場合は、役代の加算は10文です。つまり、ビキはその機会がないので、ビキが"福当たり"で上がる場合には、プラス12文しかありません。
 
 以上がタイミングによる特典ですが、これは、構成札による特典との重複も可能です。但しその場合、掛け合わせにはなりません。つまり、例えば素役の倍付けを福上がりした場合だと、役代の1文を2倍した後に15文が加算されるので、役代は17文です。加算してから2倍して32文、ではないので注意してください。
 
 
 
 
 
 
   注意事項
 以上で"珊瑚花"の遊び方の説明を終わりますが、遊ぶ際に少し気に懸けて欲しい事があります。
 一応、2〜4人で遊戯は可能、としましたが、基本的には"珊瑚花"は、3人で遊ぶ事を想定しています。何故かと云うと、技法自体は全く変えずに遊ぶなら、2人、3人、4人それぞれで、全く趣の異なる遊戯になる、と思われ、3人が最もバランスが取れた遊戯になるだろう、と考えた為です。
 4人で遊ぶと、一人当たりの手番がかなり少なくなる上、自分以外の捨て札の3分の2が取れなくなるので、非常に役が出来難くなり、ただ上がれば3人から役代が貰えるので、3人の時と較べて1.5倍になります。
 また、2人で遊ぶと、手番が相当に増える上に、捨て札を取れない、と云う事がそもそもないので、かなり役が出来易くなる代わり、上がった時に貰う役代も3人の時の半分です。
 どの辺りのバランスが良いかは各人の好みなので、2人や4人が悪い、とは一概に言えませんが、人数を変えて遊ぶ際には、そう云った事を一応留意しておいてください。
 また、素札5枚を含む役で同月札2枚を最低1組含む、としたのは、素札は何しろ数が多いので、ただ単に素札5枚としたのでは、下三光はともかく素役が余りにもあっさり出来過ぎる、と思われたからですが、最低1組ではまだ、かなり出来易い可能性もあります。4人ならば手番が減るのでそれでも良いでしょうが、その場合でも、素役とそれ以外の役との間に、出来易さに極端に差があり過ぎるのは問題です。
 3人で遊んでみて「素役が出来易すぎる」と思われた場合は、役の最低条件及び役の特典を、以下の様に修正してみてください。
 
 ・素札5枚組には同月札2枚が必ず2組含まれていなければならない。
 
 ・残り1枚が柳の札だった場合は、役代が2倍付けられる。
 
 ・桐のカス3枚とそれ以外の同月札2枚の場合は、役代が3倍(あるいは4倍)付けられる。
 
 更に、この修正によって、可能性としては、素役が下短冊や下ノ種よりも難度が上がる事もあり得ますが、もしそう感じられた場合は、以下の条件を加えてみてください。
 
 ・素札の3枚組には同月札2枚が必ず含まれていなければならない。
 
 ただ、元々、下三光と、上短冊、上ノ種辺りの役の難易度は、どれが易しくどれが難しいかが完全には確定出来ずに並べています。遊んでみて、実感として難易度が役代の大小と一致していないと感じられたなら、そもそも役代の順番を見直す必要があるかも知れません。
 
 正直な話、この"珊瑚花"は、公開した時点で、テストプレイが殆ど為されていない状態ですので、上記以外に、他にも私には想定出来なかった問題点など出て来るかも知れませんが、皆様でより良い形に整えて行って戴ければ幸いです。